黒木引退試合

saitoukanchou2008-03-15

いつかこの日が来るとは思っていた。

けど、いつか”彼”ならばまた、グラウンドに帰ってくる。そしてあの”雄叫び”を上げる気迫の投球を見せてくれる・・・そう信じていました。

しかし、昨年で自由契約。そしてそのまま引退の道を選択した黒木。

夢は叶わなかった。けれどもかつての弱小チームだったマリーンズの中で輝き続けた”希望の星”。
黒木の引退試合があるということで、観戦仲間の2人と共に、マリンスタジアムへ行ってまいりました。

通常の試合が終了し、少し肌寒くなってきた夕暮れ時から、セレモニーが始まりました。

満員の観客の中、オーロラビジョンに「13年間ありがとう」という文字が現れ、今までの黒木の活躍の歴史が流れます。

 静まり返ったスタジアムの中で、ウグイス嬢のアナウンスがこだまします。

「マリーンズのピッチャー・黒木」

一礼してマウンドに向かう黒木。もうこの光景を見ることはできないんだ・・・そう思うだけでもう、目が潤んできているのが自分でもわかりました。

そして対戦する打者は、サブロー!同期入団の選手です。
全盛期と同じく、雄叫びを上げて渾身の投球をする黒木に対して三振!!


次の打者は同期入団の磯部です。
全員残っていた楽天の応援団が、応援歌を歌います(ありがとう)!
磯辺はサードゴロ。真剣勝負をしてくれて嬉しかったです。


そして最後のバッターは福浦!福浦を三振に仕留めて、守備に付いていた選手たちとも握手を交わしました。

その後、同じ延岡高校の後輩にあたる草野からの花束贈呈に、自分のところまで花束を取りにこさせた小宮山に笑いが起り、背番号を譲り受けた石田打撃投手ともがっちり握手。粛々とセレモニーが進行しています。

ただ・・・黒木が小さな娘さんと抱擁しているところではもう、泣けてしまって・・・ダメでした。
僕らはあなたのお父さんの活躍に勇気と感動を、何度もいただきました。本当にありがとう。


そして黒木自身のあいさつです・・・
「初めにこのような素晴らしいセレモニーをしていただいた球団、ならびに関係者の皆様。本当にありがとうございました。監督、コーチ、スタッフ、選手の皆様方。本当にありがとうございました。
これまで自分に携わっていただいた多くの皆様、本当にありがとうございました。
自分の家族にも一言、言わせて下さい。今まで迷惑をかけました。これからもよろしく、本当にありがとう。そしてファンの皆様方、本当にありがとうございました。マリーンズに入団して13年間、本当に幸せでした。マリーンズへの声援が僕に勇気と力を与えてくれました。マリンのマウンドが大好きでした。今日でこの大好きなマウンドは最後です。しかし、お別れは言いません。
またいつの日かどこかで皆様と会える事を信じています。13年間ほんとうにありがとうございました」


そう!いつかまたこのグラウンドに帰ってきてくれることを待ってます。

そしてグラウンドをゆっくりと回りだします。ライトスタンド付近に差し掛かった時に、選手全員が駆け寄って胴上げです!

そしてスタンドには、あしたのジョーの劇場版の主題歌「美しき狼たち」が流れました。

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もう、ダメでした・・・こみ上げてくる涙を抑えることはできませんでした。
正に黒木の心の声を代弁しているかのようなこの歌詞にもう、涙が止まらなくなって・・・。
一緒に観戦していた仲間も泣いていた。周りの人たちも、選手も・・・そう、みんな泣いていたんです・・・。

そして一通りセレモニーが終了し、鳴り止まないジョニーコールに応え、再度グラウンドに姿を見せてくれた黒木・・・本当にありがとう。


ようやくセレモニーも終わったものの、僕らはなかなか席を立てずにいた。
涙が止まらなかったから。


そんななかなか帰れない僕たちの目の前で、オーロラビジョンに突如、映像が流れ始めたのです。

それはあの、全盛期の黒木の投球シーンでした。

イチローも田中幸彦もバルデスも・・・どんな強打者に対しても臆することなく、渾身のストレートで三振に!そして難なく打ち取っていく、かつての光り輝いていた黒木の雄姿そのものでした。


僕らはもう、その場を動くことができなくなりました・・・。


どんなにチームが弱くても、どんなにお客さんがガラガラでも、彼がいるならきっと!彼がいるからこそ応援する!そうしたチームの希望の星・・・思わず胸が熱くなり、更にこみ上げてくるものが抑えられなくなってしまいました。


マリンスタジアムを彩っていた美しい夕焼けは既に夜の帳となりました。
こんなに感動させてくれた黒木に、そしてセレモニーを企画してくれた球団各氏には、ただただ感謝です。




黒木!!いつかまたグラウンドで!!